アジアの水質汚染を測る
WATER itで持続可能な河川の水質モニタリング

河川の水質汚染

経済発展が著しいアジア諸国では急激な都市化や工業化により、一般家庭や工場などからの排水が流れ込む河川の水質汚染が深刻化しています。水環境の改善のためには、まずは汚染状況を把握する河川の水質データの収集が第一歩ですが、河川流域が広いエリアにおいて定期的な水質測定の実施とその継続は多くの新興国にとって容易なことではありません。

河川の水質データの収集はなぜ進まないのか

できるだけ多くの場所で、定期的に河川の水質汚染の状態を測定する重要性は多くのアジア新興国でも認識されています。しかし現場では、さまざまなリソース不足がそれを妨げているのが現状です。広い流域に点在する測定地点を定期的に訪問しなくてはいけないため、人手は不足しています。信頼できる高価な水質分析装置を購入・維持するための予算も十分ではありません。そして高度な分析装置を使いこなすために必要な測定知識とノウハウも不足しています。欧米メーカーの高価な分析装置が導入されているが機器を使いこなせる人材の育成が追い付かず、長年機器が放置されているといった現場も珍しくありません。

例えばベトナムにおいては、2014 年より施行された改訂環境保護法に基づき、流域環境管理計画が策定されています。対象河川の流域では政府の定める汚染物質の基準値を大幅に上回る地点も存在します。しかしながら、予算と人員の不足により、政府の意図・目標と実態に乖離が生じてしまっています。流域環境管理の対象となっているカウ川流域を例にとると、水質モニタリングの拠点数は 2012 年までは 300 拠点、2013 年以降は 336 拠点に増加する計画でした。しかし、実際の拠点数は 2010 年から 2011 年の間に 42 拠点減少し、計画達成率も減少の一途を辿り、2015 年時点では 63%に留まっています。また、モニタリング頻度も目標値を大幅に下回っているという課題が存在しています。

オプテックスはこれらの課題に対し、発売以降、日本国内の多くの工場や浄水施設で採用されている濁度計(だくどけい)で培ったセンシング技術と、ITを活用したIoT技術を組み合わせた簡易水質測定システム“WATER it”を開発しました。WATER itは、簡単、迅速に多くの水質データを集めて一元管理することが可能なため、河川流域の水質モニタリングに最適なシステムです。アジア諸国の安心・安全な水環境の実現に貢献します。

【 課 題 】

  • 経済発展が著しいアジア諸国において河川の水質汚染が深刻化
  • 地球環境と人の健康への悪影響が懸念される
  • 河川の水質データの収集には人手、予算、ノウハウなどの多くのリソース不足が課題

WATER itなら測定からデータ管理まで自動化

現場で採取した河川の水は分析室に持ち帰り測定されます。分析室では測定項目によっては数時間から数日、必要なものもあります。その後、測定結果はデータとしてまとめられ、管理者へ報告されます。別の集計拠点への報告が同時に必要な場合もあります。

水質測定はできるだけ多くの測定地点において、繰り返し定期的に観測して水質の変化をみる必要があり、測定やデータ管理を迅速に行い、モニタリングすることが重要です。しかし従来からの方法では測定において手間や時間、コストを要するだけでなく、測定したデータの管理と共有という運用にもまた手間が発生していました。

WATER itによる水質測定は、採取した水を専用試薬(テストキット)で反応させ、持ち運び可能な測定器(マルチメーター)にセットするだけ。採取した水に含まれている物質の含有量をその場で測定、測定データはブルートゥースを使ってスマートフォンに転送、さらにスマートフォンの専用アプリからクラウドに自動的にアップロードされます。これにより、水質測定にかかる手間や時間、コストを大幅に削減。管理者は、測定結果をすぐに閲覧・管理することができます。

簡易水質測定システム

安全で低コストだから続けられる

WATER itの専用試薬(テストキット)はpH、残留塩素、COD、アンモニウム、各種重金属など、約30項目の水質測定が可能。誰でもどこでも安全に扱えるチューブに入った試薬の中に採取した水を入れるだけで、水の成分と反応し、その発色度合いで特定物質の濃度が分かります。試薬は人と環境に無害な、安全な薬品を使用しており、ほとんどの水質測定は5分以内に完了します。1項目、1回の測定に必要な専用試薬は1本のチューブのみ。

従来の分析室での分析装置を使った測定では難しかった迅速な測定が低コストで実現可能であり、導入後も測定に関わる人員に高度なスキルやノウハウが無くても運用を長く続けることができるシステムを実現しました。

水質測定試薬と特定物質の濃度

濁度計で培ったセンシング技術を測定器(マルチメーター)に搭載

1996年、オプテックスは琵琶湖の透明度を測定する当時世界初の透明度自動測定システムを開発しました。それ以降その技術を応用し「手軽に水質変化の傾向を管理したい」という市場ニーズに応える数多くの製品を開発しています。水の懸濁濃度(濁度:だくど)の測定はあらゆる水質測定において基本的な測定項目ですが、オプテックスの濁度計は簡単・迅速・ローコストが特徴で、国内の多くの民間工場で採用されています。

WATER itの測定器(マルチメーター)は、この濁度計のセンシング技術を応用。専用試薬(テストキット)で発色した水をマルチメーターで測定、数値化することで、目視による測定の個人差や太陽光などの測定環境による影響を除去しました。異なる種類の専用試薬(テストキット)を使用することで、1台の測定器(マルチメーター)でさまざまな種類の水質測定が可能です。

測定器(マルチメーター)

データは自動的にクラウドで管理

測定器(マルチメーター)で測定した水質データは、その都度、紙に記載して報告、保管する必要はありません。スマートフォン用のアプリケーションを使って、自動的にクラウドでデータを管理することができます。データは測定器(マルチメーター)の測定結果がそのまま送信されるため、転記によるミスを防ぐことができます。管理者が遠隔に常駐する場合でも採取現場の水質データはクラウドでリアルタイムに確認できるため、管理者は水質の変化を即座に確認することが可能です。複数の管理者がクラウド上のデータを共有することも可能です。

このようなクラウドを活用したIoTシステムの導入には多くの場合、現場のネットワーク環境の整備やシステム構築という高いハードルが存在しますが、WATER itなら現場のスマートフォン1台から始めることができるのも大きなアドバンテージです。

現場のさまざまなリソース不足を解決し、アジア諸国の水環境改善の第1歩を実現するソリューションとして、WATER itシステムは高い期待を持って受け入れられています。

【 効 果 】

  • 簡単な操作で、誰でも水質測定が可能
  • 水質データを迅速にクラウドで管理・共有することが可能
  • 高価な分析装置を使用せず、低コストで長く続けられるシステム

応用・展開

  • 工場排水の水質変化の管理
  • 浄水設備の運転状況の管理
  • 水産養殖場における水質変化の管理

製品情報

water it

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