パーキングエリア浄化槽の水質管理業務を67%削減
IoT技術を用いた水質の遠隔モニタリング 導入事例
- コスト削減
- 省人化
- 可視化
- 業務効率化・生産性向上
- モニタリング
- IoT
- 駐車場・道路
- DX
水質管理のDX化で新たな業務プロセスを構築
課題
少子高齢化による人手不足・人材不足で浄化施設の維持管理が困難
解決策
浄化槽の水質をIoTで遠隔監視
効果
週3回の巡回点検が週1回に、1人あたりの現地作業時間を67%削減

高速道路のサービスエリア・パーキングエリアでは、レストラン、トイレ、洗面所、シャワー、洗濯機などで大量の水が消費されており、利用された水は施設内で浄化してから排出されています。
利用者の快適さと環境への配慮が両立するように、水質管理に先進的なIoT技術を導入して業務の効率化に成功された事例をご紹介します。
課題
少子高齢化による人手不足・人材不足で
浄化施設の維持管理が困難になる
今回ご紹介するパーキングエリアの浄化槽の水質管理には、以下のような課題がありました。
- 排水の放流先が瀬戸内海であり、厳しい水質総量規制基準※ が適用されるため、週3回の巡回点検を実施。水質データを測定して異常があれば迅速に対応する必要がある
- サービスエリアやパーキングエリアは広範囲にわたって配置されているため、巡回点検のための移動に長時間かかる
- 少子高齢化が進み、浄化処理施設を維持管理する技術者の人手・人材不足が顕在化している

- 水質総量規制基準とは
特定地域(東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海)の水質保全を目指し、一定規模以上の事業場から排出される排出水の汚濁負荷量の許容限度を定める基準です。
この基準は水質汚濁防止法に基づき、都道府県知事が具体的な規制値を定めます。
解決策
浄化槽の水質をIoTで遠隔監視
浄化槽の水質管理をスマート化できるWATER it データマネジメントサービス(以下「DMS」)を導入。
DMSは、浄化槽の水質をリモートで監視し、管理するためのサービスです。
浄化槽に取り付けられた水質センサーが測定したデータをクラウドに送信し、パソコンやスマートフォンでいつでもどこでも確認できます。
水質が急変しそうな場合は、メールでアラートを通知し、迅速な対応ができるようになります。
DMS導入システム概要

設置環境の様子


浄化槽
左の黒いポールの先端にpH計、右のポールの先端に溶存酸素計を設置
(左図参照)

ユニバーサル変換器 / フードキット
浄化槽の現場でも水質センサーの測定値をデジタル表示で確認できる

ポール取付時のゲートウェイ
LTE通信方式を採用、屋外でも設置ができる保護等級IPX5。
施工時間の短縮や工事費用の削減に効果的

壁面取付時のゲートウェイ

DMSのグラフでみる(ダッシュボード)画面イメージ
効果
週3回の巡回点検を週1回に、
1人あたりの現地作業時間を67%削減
- 浄化槽の水質を遠隔地から常時監視できるようになり、パーキングエリアまで巡回点検する回数を週3回から1回に削減
- 水質管理のIoT化は、汚泥濃縮装置の自動化と薬剤投入作業の効率化につながり、現地での1人当たりの作業時間が67%削減
- 浄化槽の維持管理業務プロセスを変革し、人件費やメンテナンス費の削減などパーキングエリアのDX化を実現
- 水質データの変化や傾向の見える化により、これまでベテラン技術者の暗黙知であったノウハウが形式知となり誰もが適切かつ迅速に業務を行える
- 水質異常の予兆が見られた時、パソコンやスマートフォンにアラートが送信され、適切な対応を迅速に行うことが可能となり、法令と自然環境を守ることができる

高速道路事務所 ご担当者様 コメント
これまで浄化槽の調整は、ベテラン技術者の暗黙知に頼ってきましたが、今後は水質データをリモートで監視し、誰でも使える形式知に変える予定です。
また、センサーで測定した水質のデータベース化により、将来も適切に管理できるようにします。
今後は水質管理ノウハウの蓄積や浄化技術の開発を進め、さらなるDX化の普及を図ります。
持続可能な開発目標(SDGs)の実現を目指して
高速道路事務所様では、データマネジメントサービスで蓄積した水質測定値のデータベース化を進め、安全で効率的かつ持続可能なスマートオペレーション体制を構築されました。
この活動は、高速道路の利用者と高速道路周辺地域への安全・安心・快適な環境を守り、持続可能な開発目標(SDGs)の貢献に役立つことでしょう。
世界の水問題を解決する一つの取り組みが、SDGsの目標6「安全な水とトイレを世界中に」です。
清潔で安全な水と衛生の確保するために、具体的なターゲットが設定されています。

持続可能な管理を確保する
6.1 | 2030年までに、すべての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ衡平なアクセスを達成する。 |
6.2 | 2030年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女児、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を払う。 |
6.3 | 2030年までに、汚染の減少、投棄の廃絶と有害な化学物・物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模で大幅に増加させることにより、水質を改善する。 |
6.4 | 2030年までに、全セクターにおいて水利用の効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取及び供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる。 |
6.5 | 2030年までに、国境を越えた適切な協力を含む、あらゆるレベルでの統合水資源管理を実施する。 |
6.6 | 2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼を含む水に関連する生態系の保護・回復を行う。 |
6.a | 2030年までに、集水、海水淡水化、水の効率的利用、排水処理、リサイクル・再利用技術を含む開発途上国における水と衛生分野での活動と計画を対象とした国際協力と能力構築支援を拡大する。 |
6.b | 水と衛生の管理向上における地域コミュニティの参加を支援・強化する。 |
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