Interview

Vol.005

寡黙な電気設計者の正体は
全方位に全力を注ぐ熱い男でした

エントランス事業本部 開発部 開発2課

益田 航

Wataru Masuda

BIOGRAPHY

1992年  0歳

誕生

2004年 12歳
小学校の環境学習でオーパルオプテックスへ。 カヤックを体験
2007年 14歳
ソフトテニス部に入部。県大会に進むが1回戦敗退
2010年 18歳
大学に入学しゴルフを始める。 ベストスコアは88
2012年 20歳
普通自動二輪免許を取得し、愛車セロー225で通学
2016年 24歳
大学院での研究の合間にイラストを書き始める
2017年 25歳
オプテックス入社。自動ドアセンサーの開発部門に配属
2022年 29歳
企画から携わった担当製品『OB-01C』が発売される

寡黙な電気設計者の正体は
全方位に全力を注ぐ熱い男でした

エントランス事業本部 開発部 開発2課 益田 航

編集の岡井です。今回取り上げる益田さんは自動ドアセンサーを扱うエントランス事業本部の開発者。オプテックスの開発は「機械」「ソフト」「電気」に大分されますが、益田さんは電気を担当しています。入社から7年が経過し、製品の評価試験やビーコン(近距離に信号を発信し、範囲内にある端末と通信する装置)の開発など数々の経験を積まれてきました。

取材依頼をした際、難しい顔をしながらも最後は「やりますよ」。と一言言ってくれた益田さん。当時、編集担当と初対面だったにも関らずです。そんな寡黙で義理深いエンジニアの一日に同行したら、会社とはまた違った表情を見せてくれました。

難課題に挑む開発者
Okai

Okai

今日は益田さんが熱中しているというボルダリングのジムにお邪魔しています。

Masuda

Masuda

もともとオプテックスにはいくつかの部活動がありました。野球やテニス、フットサルなどですね。新型コロナウイルス感染症の間は十分に活動できていなかったのですが、最近は活動が復活し始めています。あ、最近は自転車部ができたらしいですね。
ボルダリング部も10人くらいいるのですが、自分が入社してすぐにジムに連れてきてもらったんです。それがボルダリングの初体験でした。

ボルダリングには様々なルートがあって、「課題」と呼ぶのですけど、難しい課題を完登できたときの達成感にハマってしまいました。

Okai

Okai

ルートによってはどうやって登るのか想像もつかないです。登ったあとは飛び降りていいのですか?

Masuda

Masuda

飛び降りる方もいらっしゃいますが、僕は成功を噛みしめながらじっくり下ってくるタイプです。ケガする可能性も高まりますし。

Okai

Okai

どれくらいの頻度で活動しているのですか?

Masuda

Masuda

今は部活動中心ではなく、個人的に週に2~3回。各2時間くらい登っています。長い間通っているうちに、社外の常連さんたちとも仲良くなってきました。

課題クリアの仕方ひとつとっても、色々な考え方やアプローチがあって刺激を貰っています!ジム仲間4人で四国のボルダリングジムを巡る旅にも行ったんですよ。楽しかった。

Okai

Okai

刺激し合えるコミュニティや仲間、羨ましいです。

Masuda

Masuda

ただ集中しだすと時間も忘れて黙々と登ってしまい……。熱中すると周りが見えなくなる人だと思われちゃってますね。

仕事でも同じように熱中してしまう気はあって。この間も在宅ワークをしていたのですが、気が付いたら20時を回ってしまっていました。定時に上がれる予定だったのですが。夢中になると時間感覚が無くなってしまって。納得できるところまでやりきってしまいます。

オプテックスの本社にいれば17時半に「蛍の光」が流れてくるので気が付くのですけど笑

Okai

Okai

開発の方も在宅ワークをうまく活用されているんですね。

Masuda

Masuda

開発の状況にもよりますが、出社率50%くらいでも問題ありません。在宅の日は睡眠時間を長くとって回復するように努めています。気を付けているのは、ちゃんと私生活と仕事の時間をビシッと切り替えることですね。そんなに大きな部屋でもないので、居住と仕事の空間を完全に分けられなかったり、使用できる家具が被ってしまったりするので。

だから僕は在宅の日も、始業時間までに仕事着に着替えるようにしています。ちゃんと身だしなみを整えることで、気持ちまで切り替えられていると感じています。

Okai

Okai

厚かましくも、そんなご自宅にお邪魔しています。

Masuda

Masuda

「ア〇クサ電気つけて」(電気が灯る)

Okai

Okai

3Dプリンターに中華鍋、ボルダリングのホールド、
さらには無数の萌えグッズ。ジャンルの振り幅がスゴイです。

Masuda

Masuda

なんか恥ずかしいですね。以前はコミックマーケットにも参加していました。見に行くのではなくて出展者としてです。イラストやコミックを書き始めたのは大学院の修士論文に取り組んでいるときでした。ちなみに論文のテーマは「折り込み構造を有するソフトグリッパを用いたアクティブ血圧測定システムの開発」。

根を詰めている合間に、なにか気分転換になる時間が欲しかったのです。デザインや絵を描くような経験はなかったのですが、前述の性格の通りのめり込みました。

それから2年くらいでコミケに初出展しました。創作は基本一人でやっているのですがイベント前はいつも大変です。納期ギリギリで印刷屋さんまで直接引き取りにいったり、時間が無いのにボルダリングジムに行ってしまったり笑

本当に多種多様な道具があるが、どれもきちんと管理されていた。中華鍋で炒飯を作ると本当においしいのか?を確かめるために買った鍋もピカピカ。実際おいしくなったそうです。

Masuda

Masuda

ボルダリングといえば、いまは解体してしまいましたがこの家の中にボルダリング場を作っていたんですよ。
2x4(ツーバイフォー)の木材を屋内専用のツッパリみたいなのを使って部屋中に張り巡らせました。いまは組み替えてパソコン用デスクになっていますけどね。

Okai

Okai

時間もお金もつぎ込んで、
全方位全力で挑むからこそ、普通では得られない経験ができそうですね。

Masuda

Masuda

そう思います。それに、趣味でやってきたことが直接仕事に生きているなと思うこともあります。

例えばこの3Dプリンター。私生活ではコミケなどの「戦利品」を効率的に飾るための部材を作ったり、牛乳パックの口を閉じるクリップを作ったりしてきました。

この知識が生きるのが、開発業務の中で実験用の治具が必要になる時です。自分でササっとモデリングしてしまえるので、確実に生産性があがっていると思います。本来、「電気」担当に身に付くスキルではありませんから。

Okai

Okai

ところで今、左手に持たれているものって一般的な機器ですか?初めて見ました。

Masuda

Masuda

はい。描画ソフトのショートカットキーをこのボタンに記憶させています。とても便利ですね。
3Dプリンターで筐体を作って、中の配線なんかも自分で。

Okai

Okai

……だんだんついていけなくなってきました。

Masuda

Masuda

大したことないですよ。ただ僕は自力でできそうなこととか、気になったことは何でも自分でやってみたくなる性分なんです。

そういえばエントランス事業本部には年に一回『成果発表会』という行事があって、その年のチームの成果を自部門内に「わかりやすく」伝え合うのです。ここに皆さんが様々な工夫をされててすごく面白い。

僕もこれまで誰もやったことないことがやりたいなと考えて、思い切ってアニメーションの上映を提案してみたことがありました。賛同してもらって制作した結果、発表の当日の反応も良かった。オプテックスの「面白そうなことはとりあえずやってみよう!」っていう文化にも、提案が刺さりやすかったのかな。ここにもまた、趣味が役に立ったと思えました。

Okai

Okai

益田さんが感じるオプテックスの文化について、もう少し教えてください。

Masuda

Masuda

他の会社と比べたことがないので正確なことは言えないですが、社員が自由な感じでいいですよね。琵琶湖の畔という本社の立地も影響しているかもしれないです。いつも窓から小学生や中学生がボートを漕いでいるのが見える。

実は僕も小学校の頃に環境学習で来たことあるんですよ、オーパルオプテックスに。

オーパルオプテックスはオプテックスグループの兄弟会社。オプテックスの本社と同じ敷地にあり、琵琶湖などで様々なアクティビティが体験できます。カヌー以外にもSAPやドラゴンボート、サイクリングなども提供している。

Okai

Okai

そんな環境のオフィスで益田さんはどのように過ごされているのですか。

Masuda

Masuda

うーん、会社で普段、業務以外のことで他の方と話し込むことは少ないかもしれません。仕事は仕事としてきっちり打ち込んでいます。

具体的にはCADを使って設計したり、電気回路のシミュレーションをしたりしています。一回作って動作させてみて、それを評価する。これを繰り返しながら煮詰めて、製品をしつこく追い込んでいく工程が面白いと感じています。

以前担当した「OB-01C」という自動ドアに取り付けるビーコン発信装置は、企画から携わった初めての案件だったので特に楽しかったですね。この製品はエントランスという空間から情報発信などもできるようにする装置で、皆さんの生活をもっと便利するものなんです。

  • 4名の開発者によるMT風景

1mmの部品を手際よく、そして丁寧に半田付けする益田さん。実際に動作させて製品の評価を行っていく。

Masuda

Masuda

そして今は、国内外で使用される自動ドア用センサーの開発に携わっています。

「OB-01C」はなにかしらの入力、例えば人が自動ドアに入ると、それをトリガーにしてスマートフォンへ情報発信する。という比較的単純なものでしたけど、今回はより複雑な企画になっています。それだけに活用いただけるフィールドも広がっていくと思います。

Okai

Okai

益田さんが主体的に携わった商品が、世の中で活躍し始めていますね。

Masuda

Masuda

そうですね。オプテックスで経験を積ませてもらって、ようやく直接的に世の中に貢献していけるんじゃないかと期待しています。

自動ドアセンサーって、一般の方が普段あまり気にかけることは無いと思うのですが、世界中の安全や快適につながる製品ですので、実はすごくやりがいを感じています。

実際に自分の関わった製品が設置されているのを見つけたら、家族やボルダリング仲間にも「これ、僕が作ったやつだぞ!」って胸を張って言いたいですね。

当初寡黙だと感じていた益田さんは、何事にもストイックに取り組む熱い気持ちを持った方でした。全方位に腕も脚も伸ばして昇りゆく様は、さながら星のようです。公私のボーダーを超えて磨き続ける技術やマインドは、今後さらに輝きを増していくのではないか。隆々たる背中を見ているとさらに期待が膨らみます。

企画・編集:岡井良文
ご意見・ご感想がございましたら、お気軽にお寄せください。

※本記事は2022年9月、2024年5月時点の取材内容で構成しています。