建築物の環境対策

ゼロ・エネルギー・ビルディングの実現に。空調効率を大改善

近年世界的に省エネや自然エネルギーの活用を積極的に行うZEB(ゼロ・エネルギー・ビルディング)を目指した環境設計が求められています。日本の経済産業省も2030年までに新築物件でZEBを実現するという目標を掲げました。
建築物が消費するエネルギーのうち空調が占める割合は想像以上に大きく、「出入口」対策が注目されています。

自動ドアの「無駄開き」問題とは?

スムーズな人の往来に欠かせない自動ドア。しかし前を横切る人にも反応してドアが開閉したり、ドア付近が混み合って常時ドアが開きっ放しになったりする“無駄開き”という問題を抱えていました。これにはどのようなデメリットがあるでしょうか?

【ビルオーナー】
・月々の電気代が高くなる

【建物管理者】
・エアコンの効きが悪くなる
・衛生が担保できない

【利用者】
・入らないのにドアが開いたり、列に並んでいたらドアが開きっぱなしになったりする
・外部の雑音が気になる

これらは、関係者から寄せられた実際のお困りごとです。

さらにニューヨークや韓国では、通りに面した店舗がエアコンをつけたままでのドア開放を禁止する法案が整備されるなど、軽視できない課題となっています。

建築物のエネルギーロス対策に、自動ドアセンサーが注目される理由

建物のエネルギーロスの中で、最も大きな要因は「空気流出」であることはご存じでしょうか。他のロス要因合計と比べても6倍以上と圧倒的です。また「建物全体に占めるエネルギー消費」でも、空調が占める割合が事務所で50%、店舗やホテルで40%以上と照明や給湯を抑えてトップ。エネルギー対策を行うなら、まず空調が重要なポイントとなります。

●出展:ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の実現と展開に関する研究会報告書(2009年11月経済産業省)

Comparing Effects
図. 建物のエネルギーロス (出典:EDSF European Door and Shutter Federation e.V.)

利便性と環境性を両立した『eスムースセンサー』

解決に向けてタッチスイッチの自動ドアを採用することも正しい解決法です。しかしオプテックスでは、自動ドア本来の利便性を失うことなく、かつ車いす利用者の方たちにも優しいバリアフリーな環境を維持すべきだと考えました。

これまで安全上の理由で“ドアの開閉時間を短くする”のは難しいといわれてきましたが、オプテックスの『eスムースセンサー』には、人を検知する近赤外線センサーに加えてカメラを搭載。通行者の速度や進行方向を読み取り、進入速度に合わせてドアを開きます。さらに「前を横切るだけではドアを開けない」という制御も可能になりました。

eスムースセンサー
無駄開き抑止自動ドアセンサー eスムースセンサー VVS-1

A. 人体認識エリア
人を認識する範囲

B. e-Countエリア
従来の自動ドアセンサー検出範囲を認識する範囲。
従来センサーとの設置効果を検証するために使用

C. ドアポジション
自動ドアの開口幅を認識する範囲

画像処理システム上のエリア役割図
画像処理システム上のエリア役割図

1:複数通行者の個別認識
画像から1秒間に約70人を個別認識。小さな子どもはもちろん、傘をさした人や帽子をかぶったままの通行者も検出可能。

2:通行者の動線把握
通行者の動く方向をリアルタイムで追跡し、自動ドアに向かってくる動きだけを検出。建物に入る意思のない通行者による不要開閉を削減。

3:通行者の歩行速度把握
通行者が自動ドアに到達するまでの歩行速度を分析・予測。通行者にとって快適なタイミングでのドア開閉が可能。

従来の自動ドアと比較し、消費電力量を約30%カット

『eスムースセンサー』はドア開閉時間を制御し、開閉回数も抑制。ドア前の人通りが多い店舗であるほど多くの削減効果が期待でき、従来の自動ドアセンサーと比較して約30%※の電力削減が可能です。

利用者の快適性を損なうことなく、環境貢献を果たすことは、そのままビルや建物の社会的価値や資産価値向上に貢献できるでしょう。このように実は、自動ドアセンサーもZEBの一翼を担っているのです。

  • 算出は、CEN(欧州標準化委員会(仏: Comité Européen de Normalisation)による建物エネルギーロスの算出モデルに、当センサーによる「無駄開き」抑制実績をあてはめた結果。(使用条件・設置現場の条件などにより削減効果は異なる。)

導入効果が期待できる設置場所

  • 環境社会を目指す、すべての建物
  • 自動ドア前の横切り通行が多い店舗、オフィスビル
  • 角地に入口があるデパート、百貨店、スーパー、飲食店
  • 混雑時の行列でドアが開放される、コンビニエンスストア、駅きっぷ売り場、チケット売り場
  • 風除室がなく、通行量が多い道路に面した喫茶店
  • 高いホスピタリティを提供する高級ブランドショップ、ホテル
  • 通路に多くのドアを構える商業施設、デパート、コンサートホール
  • 衛生を配慮する病院や福祉施設、食料品売り場
【 参考 】

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